職と文化

ABCラジオへの出演のお話しを頂いて、日本人が使用している実用品やそれが生み出してきた歴史や文化という問題について、考える刺激を受けました。

以前からもお話ししていると思うのですが、一つの職が無くなるという事は、一つの文化が無くなるという事に繋がり、やがては全体を疲弊させてしまう事になります。

それは、フェイスブックやブログでお知り合いとなった多くの職人さんが声を上げていることです。

わたしのところ(職)は大丈夫、根本日本文化は亡びないと信じていても、それを使用する機会を奪われると、人はその習慣や例(ためし)を忘れていきます。

そして、その職は廃れ、伝承することすらままならない。

一度無くなった職を復活させることは、書物やノウハウでは、もうどうにもならないことです。

それは、身近な・・・とりわけ職に携わる方は、ご理解頂けると思うのですが、現場に技術が途絶えると、それを再現するどころか、そういう機運もなくなるという事です。

もう現場には、歴史書に記載されていることや、博物館に飾られているモノをもう一度という技術そのものが消滅してしまうという事なのです。

これは、ひとつひとつの職の消滅という問題ではなく、日本文化そのものの疲弊へと導く一里塚であるという事です。

少し抽象的すぎるかもわかりませんが、自らの印章という職を具体的に述べるには、理解者が少なすぎるので、機を見てお話しせねばならない時期もあると存じます。

そして、今現場に残された技術を大切に思考して頂きたい・・・ただそれだけです。

それすら崩壊すると・・・

今回のラジオ出演は、印章そのものというお話よりもそのあたりを意識してお話しできればよいなと考えております。

 

posted: 2015年 1月 16日