あがく

大阪も梅田の地下の冷しそば

【作者】有馬朗人

 

大阪のようにはなりたくない

大阪みたいになると大変だ!

と、梅田にも行けない日々を過ごしております。

 

昨夜、NHKの女優さんが瀬戸内海の志々島を訪ねるという番組を見ました。

そこで暮らす老女は、亡き夫と花づくりをしてきた。

その生業で、子育てもしたし、夫も見送った・・・。

その暮らしぶりを「あがく」という言葉で表現されていました。

何故か、胸に染みた言葉となりました。

なりふり構わず、一生懸命することを「あがく」というのではないでしょうか。

今の人は、実にスマートに暮らされます。

「あがく」という生活感を感じません。

「効率性より住民の平等性を重んじる自治体が多かった。これは完全に僕の失敗だ」とワクチンの高齢者予約の混乱を受けての大臣の言葉でした。

効率よく・・・実にスマートな言い分でありますが、不平等でもいいから、とにかく早く、7月中にオリンピックに支障なきようにと聞こえてくるのは何故でしょう。

利便性というスマートな言葉に対しては、セキュリティ対策などあとから誤ればよい、それよりも迅速に、デジタルを用いて、アナログなどけしからんと聞こえてきてしまいます。

 

サイバー攻撃を回避する最大の方法は、アナログで行うことらしい。

アメリカ海軍は、その航海で衛星通信を利用するのではなく、星の運行という先人が累積した知恵による航海法を訓練しているとのこと。

 

志々島の老女を見習い、みんなもう少し「あがく」生活を取り戻してはと思うのですが・・・。

印章が危ない・・・もう少し「あがく」方法もその対策に取り入れてほしいと強く思います。

 

 

posted: 2021年 5月 14日

利便性という掛け声にきちんと向き合えるのは・・・

この顔を五月の風にあづけけり

【作者】三吉みどり

 

♪卯の花の 匂う垣根に

時鳥(ほととぎす) 早も来鳴きて

忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ

 

押印廃止の行きつく先は、デジタル庁だったのかと昨日の法案可決のニュースを聞きながら、なるようにしかならないのかなとも思った。

利便性という言葉は、このコロナ禍において、正統性が高く、聞こえの良い言葉であるように感じる事があります。

利便性の対義語は、一般的には不便さでありますが、デジタル化において使われている利便性の対義語はそうではないように思います。

デジタル化において、利便性が高くなることもあるでしょうが、その一方で、今叫ばれているのは、セキュリティ対策であります。

利便性とは、ある一面スピーディに物事が進み便利になる、わずらわしさが取れるという語感を含んでいますが、早く物事が進むという時間軸を基準にすると、職人の丁寧な仕事は対立軸に位置します。

丁寧な仕事には時間が掛かります。

時間が掛かるという事は、物を多くの作業工程を経て出来上がるという時間と、その技術を習得するのに多くの時間が掛かったという二つの意味が内在しています。

スピーディには職人という人は育ちません。

アンチョコな急仕立ての職人程危なっかしい物はない、質のないところに進歩はないと思います。

人を育てるには、丁寧な指導の繰り返しという教育が必要なのです。

それは面倒なことであり、時間が多くとられます。

今、デジタル庁を掲げる国に一番欠如しているのは、それではないかなと最近一人で考えていますが、そういう顔も五月の風にあづけけり。

posted: 2021年 5月 13日

四面楚歌であり雪上加霜の状態

目つむりていても吾を統ぶ五月の鷹

【作者】寺山修司

あいまいな空に不満の五月かな

【作者】中澤敬子

 

ゴールデンウィークという単語の波に飲み込まれ、気が付くと五月です。

緊急事態宣言の大阪、ステイホームとお墓参りと、とある書類の文章づくりに終わりましたが、ステイホームということでは、嫁に怒られながらも、少しはゆっくりできたかなと思います。

 

 

 

 

 

 

 

印章業界を取り巻く環境は四面楚歌であり、その上現場は雪上加霜の状況です。

大変な5月になりそうですが、あいまいな空においても五月の鷹のごとく在りたいものだと思います。

posted: 2021年 5月 6日

技術の延命策

暫くは五月の風に甘えたし

【作者】柳家小満ん

 

昨日より緊急事態宣言下のゴールデンウイークに入りました。

今日はお仕事の方もいらっしゃると思います。

まもなく五月ですね。

昨夜、私のブログにコメントを入れてくださいました。

以下、そのコメントと返信です。

 

コメント・・・「私の勤務する職場にも今年度からとうとう電子決裁なるものが導入されました。結果押印するという行為が忘れられつつあります。印章は不要なので回覧板にも氏名欄にチェックでいいよ等先生が以前言われたとおり認印を無くせば皆印章を忘れていきます、今実印銀行印は必要と言ってくれている!と強がる業者さんもいるかも知れませんが、では今の我々中堅世代が老年になった時今の認印を使わない若者達が印章を思いだし職人を探して購入するのか?答は明白です。ではどうしろと言っても私には分かりませんがこの様に日本の伝統が消え去っていく瞬間をみると寂しい限りです。」

返信・・・「コメント有難うございます。

私のお店周辺は、大阪の官庁街で、その外郭団体もたくさんあります。

お客様のなかには、そういう関係の方もいらっしゃり、まだデジタル化されていない回覧の確認欄に以前ならインキの浸透印も含めたハンコを押していたのに、ハンコを押すと怒られる、レ点でチェックを強要されるとのこと。

今朝の毎日新聞の4コマ漫画で、固定電話が骨董屋さんで高く売れるとのことを聞いた若者がコードを指して、盗難防止用のヒモと言うシーンが描かれていました。

やがて、認印もそのような骨董品になるのだろうか、印章店や100均で売られている樹脂製の既製の認印はマイクロプラスチックとして海洋生物に悪い影響を与えるゴミとして揶揄されるのだろうか。

はんこレスは、ただ印章を骨董品やゴミとするだけでなく、それに携わってきた名も無き職人たちとその技術をも捨て去ってしまいます。

その傾向は以前より業界内部にもありました。

地道な後継の技術教育を促す努力をせずに、スローガンとして唯一無二を説き、実際の仕事はパソコンを使用した玩具印章を提供して来たという内部矛盾がコロナ禍により露呈してきたことと察します。

私達、本物を求めるハンコ職人が出来る事は、残された実印という概念の印章を精魂込めて作製して、その技術の延命にあたるしかないと考えています。

これをお読みになった消費者の皆様、実印の必要事項は急に降って湧いたように皆様に求められます。

その前に、是非とも技術を継承しているハンコ職人のお店を探して頂き、お求めくださることが、その技術を延命させる一助となる事を心よりお願い申し上げます。」

posted: 2021年 4月 30日

第68回大印展が始動しました

天が下に風船売となりにけり

【作者】三橋鷹女

 

子どものころ見かけた風船売は、何処へ行ったのかな?

ハンコ屋さんが風船売になりにけり

風船売を卑下したり、空気を不要なものというのではありませんが、ハンコ、印章が価値無きものになってきています。

デジタルと共存しなければとか言う方もおられますが、デジタルが下に風船売になるような気がしてなりません。

そういう世情のなか、第68回大印展が始動しました。

コロナ禍においてどうなるかは分かりまんが、昨日のリモート審査会にて課題が決定し、規定書を作製しました。

リモート審査会といっても、ファックスと電話でのやり取りで、一字一字の確認をしましたので、長時間かかることとなりました。

ファックスの前で待機してくださった審査員のみなさま、コロナ感染拡大に歯止めが利かなくなった大阪の組合事務所での作業にあたられた理事長はじめ理事の有志のみなさま、有難うございました。

ともあれ、大印展は動き出しました。

風船売となりかけている多くの出品者のみなさまの手を動かして頂き、価値ある力作をお待ちしております。

・・・大印の一技術委員より

 

追伸:大印展の部門には「電子印鑑の部」や「デジタル判下部門」はございません。

 

posted: 2021年 4月 12日

普通って何ですか

さくらさくらわが不知火はひかり凪

【作者】石牟礼道子

お天気のよい大阪ですが、コロナ感染者数の増加が第4波を示しているようです。

第4波かも知れませんが、昨年の第1波と時期を同じにします。

昨年、3月に大印展の課題がリモートにて決まり、4月24日には組合理事会にて大印展の中止が決議されています。

今年の大印展の開催が理事会で決まった直後に、大阪の感染者数が激増してきて、この5日より「まん防」の適応が決まりました。

11日に課題を決定しなければならないという手前に、昨年同様の事態となりました。

そして、昨年同様にリモートでの課題決定審査会が決まりました。

前途多難を感じています。

 

こんなところで内部事情を言うなという声も聞こえてきそうですが、敢えて渦中の人として大印展の行方を発言しておきたく記します。

大印展は、毎年秋の文化の日に開催されている大阪府印章業協同組合が主催する展覧会です。

69年前は、大阪のハンコ屋さんの技術講習会での発表の場として組合先輩方の尽力で行われた展覧会でした。

それが、全国展へと発展していき、今年68回目を迎えようとしています。

その間、印章業は大きく発展していき、その対象を印章技術の関連部門を増やし、書道、判下・・・その後さらに刻字をいち早く取り入れたのも大印展でした。

それは、印章業界が大きくなって行く事と比例しての事でした。

しかしながら、今、業界は疲弊しています。

業界団体への加盟数が激減するなかで、大阪組合の組合数も同じくとしています。

業界全体の運動量が減ってきているのに、今まで通りの事をしていては続かないというのが私の持論です。

少ない組合員数・・・しかも、その中で技術の事を常に考えている人が更に少なく、その人ばかりが負担となっているのが現状です。

怒られることを承知で書き続けますと、今、唯一無二を守る技術・・・実用印章の在り方が社会から大きく問われている事への対応が切実に求められています。

部門を縮小して続けるべきだと思います。

実用印章以外の部門は、他の展覧会(書道に付随す展覧会)があります。

実用印章の展覧会という社会への発信は、大印展や大競技会という印章業界発信以外の他にはありません。

それとコロナ禍です。

コロナ禍での展覧会の在り方を模索する必要性があると思います。

 

今年の大印展は理事会挙げての開催とする事が決まりましたので、それにたてつくつもりはありませんし、決まったことは実行したいと思います。

ただ、現状と今後の在り方を考えて頂きたく思い記しました。

また、昨年の全印協の大競技会もコロナ禍で審査会が出来ずに、大変な状況でありました。

中身は大印展と同じですので、そこにも言える事ではないかなと考えます。

組織を通じての提案もしております。

それでも、敢えて地球マークで私は発信いたします。

悔いを残さないために。そして続けるために。

 

posted: 2021年 4月 3日

とても心配しております

第4波という声が聞こえてきました。

「第68回の大印展の開催が決まりました」とお知らせしましたが、大丈夫でしょうか?と、とても心配しております。

毎年、大印展は11月3日の文化の日に開催しています。

その日は、作品展示と表彰式、懇親会があります。

その日も裏方は忙しくなるのですが、その日のみで大印展は成立しているのではありません。

作品を出品者に提出してもらわないといけませんので、製作期間を半年間設けています。

その為には、課題を3月に決めなければなりませんでした。

ところが、年の初めからの緊急事態宣言で課題決定の審査会の機を逸してしまいました。

4月11日に課題を決定することになっていますが、それでも4月に課題公表の規定書を出しまして、一月遅れとなります。

9月の締め切りや審査会までの日にちが少なくなります。

そして、今年は来年初頭の技能検定受検のための練習もあり、出品者は大変です。

そういう中、第4波の声・・・。

嘗ては、己の技術を試す場としての展覧会や競技会、誌上講習会などが多くありました。

業界の量的運動量、キャパが大きかった時代です。

その頃は、出品の場が多く大変だったが、それを喜びとして励めたものです。

作品発表の場や修錬の場が減り続ける中で、今度は、わずかになった作品発表の場が、仕事と重なり大変だ!これ以上出来ない!という言い訳が聞こえてきます。

なら、やらなければと思うのですが、後継がさらに減りますので、緩やかに教育的に対応しなければなりません。

そうこうしているうちに、業界の運動量が減るなかで、継承現場は持たなくなり、

今や、それを支えられなくなってきています。

どうなるのだろうかと、他人事のようにつぶやくしかないのだろうか。

そういうつぶやきも、こういう文章がいつまでも残るところや地球マークで公表するなという声もあります。

しかし、何処でつぶやけば、変わっていくのだろうか・・・。

私には理解できないので、いろんな所に地球マークで、つぶやき続けるしかありません。

 

今や、キャパが小さくなったので、いろんな事をせずに、絞れるところに集中しないと継続できないと思います。

人も変わり、やり方も変えていかないと「仕事が忙しく練習が出来ない」とする人には未来が見えないと思います。

私などは、一つの老害であります。

 

いくらミケランジェロやラファエロが素晴らしい美術作品だとしても、葛飾北斎の画風にラファエロを合わせて表現しても、滑稽なものにしかなりません

それを表現できる力量が自分にあるのか?

自分の力量を考えながら表現していく、名人上手の文字の骨格をいくら取り入れても、自分の力量に合わなければ、それはかえって自分の作風をみだしていく猿真似にしかなりません。

名人上手から何を自分に取り入れるのかをしっかりと持つことが、本当は一番難しい修業であります。

自らのキャパに合う方法の模索・・・

 

そういうとこらへんを、とても心配しております。

 

 

posted: 2021年 3月 30日

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