PLAN75と押印廃止

熱中症対策が叫ばれる暑さですので、ウロウロしないで涼しい場所を求めて、昨日は久方ぶりの映画館に家内と行ってきました。

『PLAN75』(早川千絵監督作品)は、75歳から自らの生死を選択できる制度に翻弄される人々の在り様が、かなり現実に近い形の重いテーマでした。

ある日、当然、反対運動があっても国会で、〈プラン75〉の法案が通りました。

何故か、大臣の発言以下右へ倣えと、昨年の春より本格実施された「押印廃止」と「プラン75」が重なりました。

利便性や経済活動を中心にモノを考えるようになって、まずは弱いところや非生産性の場面を削除していく、それが映画では75歳以上の老人として現代社会の矛盾を表現していました。

人が生活していくということは、経済活動や利便性のみを優先するとどうなるのかという問いかけでもあると思いました。

しかしながら、いちばん最後に〈プラン75〉に翻弄された人達がとった態度に、人として安心を覚えたと同時に、この映画の素晴らしさを感じました。

他者への不寛容さや痛みに対する想像力を欠いた世の中と言われている今日ですが、人の素晴らしき選択に感動いたしました。

https://happinet-phantom.com/plan75/

 

人類が印章と言う素晴らしい宝器を発明して、最初は粘土に押す封印からはじまり、呪術的な意味をそなえたり、権威の象徴とまで意義付けられたりと、時代に応じてその役割を発揮してきた印章のもつ力は、経済活動や利便性優先の現代社会においても、人と社会に対する役割は継承され、日本的霊性とともに変化発展していくことだろうと想像します。

映画が始まる前、これから放映予定の映画を紹介していました。

『土を食らう十二ヵ月』・・・水上勉の作品を題材にしたものということとジュリーの主演、なによりも先日来ご紹介させて頂いている土井善晴さんが料理担当とのこと、次の映画鑑賞は11月かなと、チラシをもらって帰りました。

 

posted: 2022年 6月 27日

父の日の鰻

手渡しの重さうれしき鰻めし

【作者】鷹羽狩行

この間から、少しの時間を見つけて読んでいる土井善晴さんの『一汁一菜で良いという提案』が理解できる年となりました。

コロナ禍でお祝いの会を催すことが難しかったので、先日の技術講習会の後、いろんなお祝いの会を重ねての祝宴に参加させて頂きました。

年を取ると、きちんと三度食べないとお腹が減るのに、一時に食べる量が減ってきます。

お祝いの会では、主催者の方の配慮で美味しい料理がたくさん出てきました。

かなり私にとっては多い量です。

講習会後にご苦労さん会と、数人で飲みに行くと、自分が食べれる量だけ頼みますが、決まったコースではそうもいかず、多く残してしまう結果となりました。

折角準備してくれた技術委員のみなさんや、美味しい料理に何か申し訳なく思う自分がいます。

その日は、父の日でした。

それから少し遅れて、東京にいる長男が父の日のプレゼントとして鰻を送ってくれました。

いつもは、一汁一菜の家内が作ってくれるご飯は、玄米ご飯です。

それは、健康にもよい美味しいものですが、鰻丼には少し合いません。

日を選んで白米を焚いてもらい、息子からの想いを頂きました。

子どもの頃は、何杯でもおかわりしたいくらいのご馳走でしたが、今は少しで気分もお腹も満たされます。

『一汁一菜で良いという提案』から土井善晴さんの言葉をご紹介しておきます。

いちばん大切なのは、

一生懸命、生活すること。

一生懸命したことは、いちばん純粋なことであり、

純粋であることは、もっとも美しく、尊いことです。

posted: 2022年 6月 24日

講師の役割とは?

夏至今日と思ひつつ書を閉ぢにけり

【作者】高浜虚子

 

スマホ脳とは、よくできた言葉かも知れない。

自然の移り変わりを肌で感じて、ああ、今日は暦の上では夏至なのだとするのが今までの感覚なのかもしれないが、ネットニュースや誰かのブログを見て夏至と思う。

あるいは、この頃のカレンダーには記載されていないものが多く、「2022年夏至いつ?」と検索して、その解答に確信する自分になっているのが、少し嫌な気分でもあります。

この前の日曜日は、技術講習会でした。

写真は、6月課題の私が彫った参考作品です。

印文は、「河井寛次郎」という実印課題でした。

講師と裏方やら、役名を兼任させて頂いていた頃は、とてもできなかったのですが、研究会講師という役名だけにさせて頂いてから、折角「役職断捨離」をさせてもらったのだから、講師というものに専念してみようと参考作品を自らが彫り、講習生に毎月見てもらうことを自分に課しました。

私が講習生のころ、講習会は講師が喋るものではなく、やる気のある人が出された課題をしてくる、それを各自講師に見てもらうという、いわゆる「技を盗む」という昔ながらの講師の先生が多かったのですが、先生は必ず資料ではなく、自刻の参考作品を持参されていました。

多くを語らなかった先生方ですが、それを毎月続けられていたことには、とても感謝しております。

漸く、今になって、講師の先生の有り難さが身に染みて理解できるようになりました。

来月も頑張るぞ!

ちなみに来月の実印課題は、「柳宗悦」です。

 

#本物の印鑑#大印技術講習会#講習会#河井寛次郎#民藝#夏至#三田村印章店#現代の名工#黄綬褒章受章#講師#断捨離#参考作品

 

 

posted: 2022年 6月 21日

今日は足が痛い、いたい・・・

昨日は京都へ一人散策しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝早くから久しぶりの京阪特急で丹波橋、鈍行に乗り換え、長男が生まれた頃に住んでいた伏見稲荷から東福寺界隈を散策。

当時は病休で体力づくりのために稲荷山を歩き回っていました。

病気にも拘わらずに、そんなに疲れる事もなく足取りは軽かったような記憶があります。

今回は1時間半くらいのお山でへとへとになり、少し迷子になりながら山頂まで登りました。

途中、小さな女の子に追い越されました。

齢60を回ると、意気込むのではなく、マイペースが肝心だな。

山から下りて、直違橋を歩いていると、「稲荷ふたば」を見つけました。

 

 

 

 

 

 

 

 

前の日曜日に鞍馬に遊びにいった家内に頼んで買ってきてもらった「出町のふたば」の「みな月」(京都6月水無月のお菓子)を食べた所でしたが、思わず寄ってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

住んでいた頃、東福寺の中にある保育園に通っていた長男を送り迎えした懐かしい道を散策した後、かねてより行きたかった清水五条にある「河井寛次郎記念館」へ行きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しまったりと、拝見させて頂きました。

観光客の多い清水の五条坂を離れ、清水焼の窯元の煙突を見ながら六原から祇園をかすめながら京阪の祇園四条駅より大阪に戻りました。

 

 

posted: 2022年 6月 13日

「#本物の印鑑」に投稿お願いします

約束はただのあじさいだったのに

【作者】なかはられいこ

土曜日に放送されたNHK・BSPの「京都人の密かな愉しみBlue修業中 門出の桜」・・・面白く見させてもらいました。

自分の仕事に懸命に努力することが、自分の人生や生き方に深みをつけていくと考える京都の修業中の若手職人たち。

ドラマ以外に、そんな若者や職人を見出す事は難しい時代になってきたとするのは、年齢のせいにしておきたく思います。

ドラマの中で、柳宗悦「用の美」(柳宗悦はこの言葉を使ってはいませんが)や民藝・バーナードリーチ・濱田庄司という言葉が出てきたのには少し驚きました。

 

大印講習会に九州宮崎から毎月、最初は講習生として今は講師として通って来てくれているSさんが、インスタグラムで面白い企画を考えてくれました。

篆刻では、「8時だよ!全印集合」というインスタグラムの企画があり、多くの投稿が土曜の夜8時に見られます。

篆刻は芸術・美術分野で奥が深いものでありますが、誰でも気軽にできるという利点もあります。

勿論篆刻をされている人は、実用印章を彫刻される人よりも多く、始まりからそんなにたたないうちに、いろんな人が投稿されています。

それを羨ましいなと思い、実用印章は毎日印面に向かいあっているが、それをそのまま、他の工芸のように作品として画像は投稿は出来ません。

印面はお客様の大切なセキュリティーだからです。

かといって、業界内の競技会や展覧会の作品を一般消費者が見る機会も場も日常としてはありません。

これらをもっと「デジタル展覧会」にして頂きたいのですが、おそらくしないだろうと思います。(かなり声高く叫んできていますが・・・)

まだ印章業界が活気を呈していた頃、大競技会のトップの作品郡を印章啓発のために某週刊誌に掲載されたことがあります。

スゴイなと、当時駆け出しの私は、私も週刊誌の啓発宣伝にのるように頑張ろうと思いましたが、これにケチが付き一回で終了しました。

特定のお店や職人の宣伝になるとして、それ以降掲載されなくなりました。

それを聞いて、度量が小さい業界だなと思いました。

だから、デジタル作品展を特定の業界団体がすることは難しいと思います。

それが流布され、一般消費者の目に行き渡れば、あの大臣賞作品のようなイメージの印影といわれても、出来るお店が大変少ないのです。

みんなパソコンフォントで印章を作製しているのが実情です。

それに対して、今回のインスタグラムへの企画発案者のSさんは、「ネット上での見本印影は、パソコンの文字ばかり。一般消費者もパソコンの文字の判子が当たり前となってきているように思えます。 そこで多くの一般消費者に本来あるべき姿の印章を伝えていきたいと思いInstagramに作品をアップする場を立ち上げました。」という趣旨のもと、インスタグラムから印章を盛り上げたいと呼びかけました。

フォント禁止以外には、あまり制約がなく、書体の規定なし、上手下手関係なし、作品への批判なしくらいです。

お客様への仕事以外に仕事をすることを、わりと嫌がる職人が多いのは事実です。

「めんどくさい!」の一言。

ですので、競技会への出品作品も一部の出品者に偏り、減って行っているのが現状です。

それらを卒業された方も、技術講習会に通っておられる若き技術者も勇気を出して、投稿してください。

競技会方式でなくとも、普段お店でお客様にお渡しされている得意なやり方で構わない、いやそれが一番重要だし肝心な啓発だと思います。

嘗ての『印の畑』印章講習会や技能グランプリの戦友の皆様、後進の奮闘に応えてあげてください。

私も投稿しました。(印文は「徳川家康」です)

よろしくおねがいします。m(__)m

https://www.instagram.com/hankoshokunin/?hl=ja

 

 

 

posted: 2022年 5月 30日

高松に行ってきました

この顔を五月の風にあづけけり

【作者】三吉みどり

 

大型連休は、暦通りの営業をさせてもらっています。

みどりの日とこどもの日を利用して、コロナ禍ということもあり、長い間ご無沙汰していた義理の両親の所にご挨拶に行ってきました。

讃岐高松の地は、義父にお世話になり印章に出会い、修業に打ち込んだ地であります。

行きは高速バスで行きました。

淡路島に入るまでは渋滞していて、2時間20分遅れで到着しました。

おとうさん、おかあさんは、とても元気にされていました。

家内と一緒に翌日散歩に出かけ、琴電の駅や息子らが通っていた保育園を見てきました。

当時の保育園よりも大きな施設になっていて驚きましたが、田んぼや畑のあった所にたくさんの家が建ち、農業試験所は大きな病院になっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰りは、家内と共に高速バスの乗り場まで行ったのですが、室津インターでの事故による渋滞を聞いて、急遽JRに変更の為、近くの琴電駅へ・・・久しぶりに琴電に乗れて、不幸中の幸い、しかも長尾線(いた時には乗らなかった)に乗れて最高でした。

マリンライナーにも久方ぶり(おそらく10年以上は乗っていない)・・・高松から大阪に向かう時、岡山までのマリンライナーが丁度一時間、車中で『印の畑』を広げて、印影に穴が開くほど見て勉強していたことが思い出されました。

道中は大変でしたが、ご無沙汰していたおとうさん、おかあさんの元気な顔を見れて、大阪とは違うゆっくりとした時間を過ごさせて頂きました。

まだ大型連休の後半らしく、大阪の店周辺もゆっくりとしていますが、ぼちぼちとエンジンをかけていくには丁度の頃合いです。

posted: 2022年 5月 7日

パワーをもらった東京行き

土曜日にありました全国印章技術大競技会の審査のために、金曜から東京に行っていました。

金曜日は息子の所に行き、一緒に東京ドーム温泉に行きました。

その後、蕎麦屋で晩御飯。

あまりお酒が好きではない息子ですが、私に付き合ってくれてビールと熱燗で色々話が出来ました。

翌日は、早くから審査会。

 

 

 

 

 

 

全国からの力作が並んでいて、審査する側もテンションが上がりました。

こういう場でしかお会いできない先生もおられ、またコロナ禍で長い間お会いできていなかった先生とも交流できて、いろんな場面でいろいろと話ができて、とても刺激になりました。

翌日は、息子とトキワ荘ミュージアムへ出かけました。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼が一番遊びたかった子どもの頃は、大阪で店を出し仕事に追われていました。

運動会は、秋ですので大印展があり、あまり参観した記憶がありません。

大人になっての遊び直しです。

午後からは雨が降ってきた皇居周辺を散策して東京駅で息子と別れて帰阪しました。

この東京行きは審査会でもパワーをもらい、息子と遊んでパワーを頂きました。

さあ、今日からも印面に向かえることに感謝して頑張ります。

posted: 2022年 4月 25日

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