素晴らしい景色を見るために
昨日たまたま見たNHK(BS)、染色家の吉岡幸雄さんのお話が、今日も同じ時間に同じ内容で放送されていました。
わずか15分の番組でしたが、再度見ると、また違った見方ができるようです。
2回目は、最後の部分に共感しました。
吉岡さんが、何気なく言われた言葉・・・
「簡単にやりたい・・・近道を通りたい・・・それをやったら駄目なんです。世の中の人生と同じなんですわ。」
世の傾向は、早く大量につくる・・・これを良しとしてきました。
しかし、それをすると大切な景色を見ずに、目的地へ持って行かれます。
私は印章から学びました。
お客さんと話しをして、お客さんの名前や会社名を預かります。
それを、自らの課題として、その課題をどう表現すれば美しいか、お客さんにフィットして大切に一生使って頂けるかを、頭と手を使い苦労してその設計図である印稿(完成デザイン)を作り上げます。
それを印面に表現して、荒彫り刀で精魂込めて彫り進めていきます。
次に仕上げ刀で印稿をよく見ながら、線を生かす表現をして行きます。
捺印、補刀、捺印、補刀、捺印を何度も繰り返して、荒彫り刀と仕上げ刀を駆使して浄刻を完了して、次はお客様の思いをいれながら育ててもらいます。
そのどの工程が欠けても、素晴らしい景色は見ることが出来ません。
デジタルで目的地へ
飛行機で目的地へ
新幹線で目的地へ
自動車で目的地へ
自転車で目的地へ
歩いて目的地へ
周りを探求しながら目的地へ
一番上から順に早く目的地にたどり着きます。
ところが、一番下から順に、素晴らしい景色は失われ、一番上に至れば、121212の繰り返しで、情報量は一番少なくなります。
添付したNHKアーカイブは、昨日と今日見たものとは違いますが、重なる部分が多く、ご参照下さればと思います。
https://www.nhk.or.jp/archives/people/detail.html?id=D0009250592_00000
posted: 2021年 6月 2日