中心の把握力
春の蔵でからすのはんこ押してゐる
【作者】飯島晴子
腰痛やなんやかんやと言い訳をしておりましたが、今朝は菩提寺への朝散歩に出かけました。(写真は、その道中の景色です。)
昨夜、その為に早く寝ようと思っていたのですが、BSのNHKで「明鏡止水~武のKAMIWAZA~」というおそらく再放送の番組を偶然見て、夜更かしをしてしまいました。
弓術、居合術、空手、弓馬術礼法などの武術家のお話でした。
共通して言われているのは、呼吸法や姿勢の問題などもありますが、私が一番共感したのは、刀や弓は強く握らないということです。
また、空手では握力だけで相手の手を強く握っても痛くない、相手の細胞の中に入るように柔らかく握ると、相手は痛みを感じ大きなダメージを与えることができます。
軽く握る、柔らかく握るというのは、私が仕上げ刀を持つイメージと同じです。
知らなかったのですが、東京の亡き小川先生も「仕上げ刀はタマゴを持つように優しく持ちなさい」と言われていたようです。
仕上げ刀を強く握ると真っすぐにしか進みません。ゆで卵(にぬき)を壊さないように持つと仕上げ刀の先が自由自在に動き回ります。
それだけ、仕上げをかけるという技は、繊細で、ある意味筆を持つより繊細な表現が可能なのです。
居合術の達人の方も同じような事を言っています。
また、体術・・・体の中心を把握することの大切さを言われていました。
この間、腰痛がひどくなり、整骨院の先生に姿勢を写真に撮ってもらうと、猫背の姿勢でした。
仕事上、どうしてもそうなるのですが、仕上げ刀をタマゴを持つようにと言われた小川先生の姿勢はとても良い姿勢をされていたことを記憶しております。
全ての方が共通して言われているのは、「中心をつかむ」ということ。
中心をつかめなければ、相手のバランスを崩す事は出来ません。
実は、印章の字法・章法にも共通することです。
印面の中心(センター)を把握できなければ、文字が輪郭の一部に引きずられて行きます。
一文字のみをみても、その中心がどこにあるのかを把握できなければ、偏と旁のバランスが悪くなります。
「田」という字の真ん中の横画の位置をどこに置くかで、その重心が違ってきます。
真ん中(二分の一)に置けば、重心が下がって見えます。
中心を把握できなければ、重心が下がっているのか上がっているのかさえも理解できないのです。
こういうことは、技術講習会で繰り返しお話してきた私の経験です。
技術講習会でお話してきたことを、今後はこういう場でどんどんと公開して行き、きちんとした印章の見方の基準を発信していきたいと思います。
posted: 2022年 4月 3日