一寸の虫にも五分の魂

啓蟄や われらは何を かく急ぐ
【作者】中村汀女

昨日の夕方の経済情報ニュースで、今国会に提案されていたデジタル手続き法案に「ハンコ不要」の文言が抵抗勢力によって消し去られたと報道されていました。
単なる情報番組ではなく報道番組としては、デジタル化推進、経済界側のみにたった報道はいかがなものかと、それを危惧致しました。
大量に早く合理的にというのが、本当に世の流れなのでしょうか?
それのみに目をやると、アナログ的なるものや手間暇をかけた手仕事というのは、おそらく対立軸としての存在なのかもしれません。
しかし、それが形成され社会に浸透してきた途方もない時間に対して障害物扱いをすると、日本にとって、日本人にとって失うものは大きなものとなる事だろうと予測いたします。
今、継承者である職人が量質共に低下の一途をたどっているという現状に歯止めを掛けなければ、今回のような問題に終止符を打つことは、不可能であると推測いたします。
今回の問題で、業界は政治的なる動きを果たしたし、その成果は大きかったと思います。
しかし、業界の土台である技術が崩れてしまえば、その努力の先が見えているのかなと、敢えて釘をさしておきたいと思いました。
技術はそれに関心ある人が、一部の職人がしておけばよいという思考であれば、その一部の職人が崩壊の一歩手前であるという認識とそれへの具体的対策を講じる必要が早急に求められています。

虫たちが春の陽気に誘われて、顔を出そうとしている時に、その上を急ぎ足で踏みつぶすような事だけは避けて頂きたいと強く要望したいと、この間の情勢と業界の在り方を見ていて感じた次第です。
https://www.tv-tokyo.co.jp/mv/you/feature/post_172944/

posted: 2019年 3月 8日