第二の自分

「私はこの書をあふるる情愛をもって、この世の無数の名も無き職人達の亡き霊に贈る」(『柳宗悦全集 第八巻』、282頁)

本当に嫌になる事が多い昨今ですね。
君は、貴方は、どういう指針や自分の考え方をもって仕事をしているんだということを問いたくなる人や事象が多くなっています。
業界の基盤である印章彫刻技術の社会的接点である技能検定が危ないこの時期に、何をしなければならないのか、自分が何をして悔いなき今を生きられるのかが問われていると思います。

その反面、何もしないと楽だろうなぁ~とも思ってしまいます。
何もしないと、敵もできないし、時間も増え、研究分野を多方面に広げられ、自分の嗜好のみで暮らせます。
気持が楽になるかも知れませんね。

しかしそういう時、時代に翻弄されながら、自分の意志を貫き、そして過去の名も無き職人達の魂を大切に思い、道を切り開いてきた柳宗悦先生の巻頭の言葉に励まされます。
また、陶芸家であり、柳とともに民藝運動を推し進めた河井寛次郎の言葉に慰められます。

自分でない自分
河原の石の中

自分でない自分
第二の自分

時に居ない人 處に居ない人
時と處に居ない人

道を歩かない人
歩いたあとが道になる人

『いのちの窓』河井寛次郎より

posted: 2020年 2月 1日