拝啓、印章様

わが鬱の淵の深さに菫咲く
【作者】馬場駿吉

テレビニュースの中までも、リモートワークの邪魔者扱いをされている印章に手紙を書いてみたく思いました。

拝啓、印章様
貴方が生まれたメソポタミアの地は、今は外からの欲目で戦火に堪えない地ですが、そこにもウイルスの広がりが見られます。
多くの人が、戦争と共に病にも犯されています。
貴方が通ってきた道・・・シルクロードにもウイルスが蔓延しています。
その道の最終地点の正倉院から全国に律令制度ともに広がり、政(まつりごと)を司るために、人と人との約束事、契約の神様である「おしでの大神」の許しを得て、庶民の間にまで浸透し、「信証の具」として人の暮らしに寄り添い、人の命や権利を法と共に守ってきてくれました。
本当に長い間、お疲れ様でした。
ゆっくりと休養を取ってください。
ウイルスが静まり、人の気持ちに余裕が出来て、働き方も新たなる方向性を人が見いだせた時に、再び「おしでの大神」が貴方を呼び寄せ、もう一度人の為に働いてくれないかと言われた時には、再び世の人のお役に立っていただきたいと思います。
まだまだ、パソコン印章やフォント印章、オモチャのような印章が溢れかえっている現在ですが、やがてそれらもウイルスに感染し滅亡していくでしょう。
それまで、ゆっくりと静養してください。
くれぐれも近寄る甘言ウイルスにはお気を付けくださいませ。
敬具

令和2年4月22日
現代の名工 三田村 薫 拝

この手紙を書いていて、ふと思ったのですが、この手紙が印章さんの所にとどくころには、印章を彫刻する技術があるのかな・・・
今朝のテレビニュースで、三ツ星レストランのオーナーシェフが言っておられました。
「自粛で店を閉めて、命は助かるかもわからないが、飲食業界は崩壊して、経済的に殺される。
飲食業界に供給してくれている生産者が崩壊し、関連している様々な文化が崩壊していく、その内の一つが飲食文化です。」と・・・

posted: 2020年 4月 22日