「パソコン印章やフォント印章から真面目な印章彫刻職人に仕事を取り戻すプロジェクト」始動

眉に闘志おおと五月の橋をくる
【作者】野宮猛夫


非常事態宣言が延長の兆しを見せ始めています。
大変な時期だと暢気者の私ですら思います。
そんな大変な時期に、はんこも大変なことになっており社会悪のような発言も見受けられます。
そんな大変な時だから、少しは黙っていろ!というお言葉も聞かずに、うるさがられ、煙たがられても一生の悔いを残すぐらいなら嫌われても良いと思い、今日も眉に闘志を漲らさして発信いたします。
「ハンコはいらない」とした経団連会長さんの発言は、ある意味正直な発言です。
毎日新聞の「余禄」の文章の江戸期の印鑑の取り扱いについて書かれた『印判の歴史』という書物についての記載がありましたが、同じ著者である石井良助の『はん』(昭和39年初版)という書物には、次のような内容が書かれています。
石井良助さんは、東大の学者でありましたので、印章業界よりの方でもなく、印章や印章文化を残したいということでもなく、ただ学問的に印章を論じておられます。
先生が印章とせずに「はん」とされたのには、理由があります。
日本印章史に残る中世の花押は、書き判や「判」とも呼ばれたサイン(署名)の一形態であり印章ではありませんが、
欧米のサインというのも「はん」の一形態であるとされています。
それを踏まえて、「むすび」に書かれている文章を拾い読みしてみます。
「・・・官庁における判コ行政が今のままでいいということにはならないであろう。・・・判コの数を減らすことは必要である。・・・特殊な事情がない場合には、自署、花押を建前とするのが良いのではなかろうか。・・・印章のように偽造、紛失や盗難の心配もないのである。・・・いずれにしても、署名(花押)と印章との何れかがよいかは、場合を分けて考えるべきで、一がいに論ずることはできないであろう。」
先生の論からすれば、自署も「はん」の一形態であります。
故に、経団連会長の言われるように電子署名でも「はん」の役割は果たすことは可能だと思います。
なぜそこに至ったのかという背景が大切で、もう「はん」の一形態である印章は、不便であるのと同時に、その印影をIDとする必要が感じられなくなったという事ではないでしょうか。
印影をデジタルで作製している。
このことは、社会的周知であります。
本来の印章は、職人の創作の産物であります。
それを誰でも簡単に作製できるようにしたのは、印章業界自身です。
そして、そこに規範を作らず、放置したのも印章業界であります。
技能検定を自らが導入して、自らが手放すこととなりつつあるのが事実であります。
コロナ禍で、リモートワークやリモート会議、リモート授業ができるのはパソコンやスマホ、ネットの普及によるものです。
印章をプリントアウト(作製)するプリンター(機械)はなくとも、だれでも印影をつくることができるようになりました。
ある意味、印章業界のお蔭かも知れませんが、反面、唯一無二でないということが、フォントを使用して誰にでも印影のようなものを作ることが出来るという事が周知であれば、自署のほうが、自署をクラウドに預けた方が、まだましなのであります。
印章は冬の時代に自らの力で入りますと私は断言しました。
既に入っています。
今日のアメブロに次のような予言を書かせて頂きました。
「コロナ禍が収束した後の世界
いや、今からも
生半可な技術は生き残れない
コロナと共に
パソコン印章やフォント印章と共に
死滅していくと予言いたします。
今ある技術の上に
更なる精進をして
新しい境地を目指すもの
のみが
生き残ることだろう」
(きあんおじさんの大予言より)

そして、眉に闘志を漲らせ、おおと次の時代に印章をよみがえらせるために五月の橋をくぐります。
「パソコン印章やフォント印章から真面目な印章彫刻職人に仕事を取り戻すプロジェクト」を進行させていきたいと強く思います。
「大印展」は中止になりましたが、代替案を提案中です。
他の印章技術に関する企画や行事もドンドンと中止を宣言されて行くことと思います。
それ以外でのプロジェクトです。
真面目な職人できちんとした印章を社会に提供していくことを発信して頂ける方のご賛同があれば、簡単です。
それを発信していけば良いのです。
何のパフォーマンスも組み換え予算もいりません。
暇だから、こんな長い文章を書いてと思われる方もおられるかも知れませんが、実はとても忙しくしています。
私を信頼してくれる多くのお客様が私の見方です。
きちんとした真面目な印章職人さんは、皆みなさんそうだと思います。
ほんの少しの時間を取って頂いて、発信してください。
徒党は組みません。
私も職人ですので、群れることは嫌いです。
各自にお任せいたします。
みんなの力を合わせて頑張りましょう!

posted: 2020年 4月 30日