こういう時こそ、技術を意識しよう!

旅にて今日八十八夜と言はれけり
【作者】及川 貞

ネットニュースに今日は八十八夜だと気づいて、この句に行きつきました。
誰かに言われたりして意識しないと、気づかないことは沢山この世にあると思います。
全ての事を意識すると、とても疲れます。
それでいいのだとも思います。
旅人にとって八十八夜というのは、綺麗な言葉ですが、農村からするととても忙しい時期であります。
それも意識すると、旅もできません。
旅人にとっての意識は、くつろぐ、旅情を楽しむということでしょう。
農村にとっては、種まきや田植えの準備、茶摘みなど春の農作業を行う時期です。
それぞれの役割と分担があります。
それが交互して成り立っているのが世の中かも知れません。

ただ印章においては、その根幹を担っているのは技術であり、それを支えている職人であるという事を忘れてはなりません。
長い間、印章業界はそこに意識をすることを忘れてきました。
それをパソコン印章やフォント印章に代替させて、それでも良いとしてきました。
技術っぽいことは、それ相応の人に任せて、後は経営、具合が悪くなると政治に意識を置き始めました。
技術は常に意識の外、スローガンとして飾られた言葉の使回しです。
消費者が意識し始めました。
どこにいけば、パソコン印章やフォント印章ではない職人の創作物である「きちんとした印章」を販売しているのだろうか?
そういうお店がドンドンと消えていってます。
その反面、売り方の上手な今時の販売方法を駆使するパソコン印章やフォント印章は市場にて乱売を繰り返されています。
消費者は意識します。
それが、印章か・・・そうなら、いらない・・・。
デジタル印鑑・・・自分でもパソコン上で印影が作れる。
それなら、わざわざ印影まがいの形にしなくともデジタル署名でよい。
それでも、印章業界は技術を意識しないのでしょうか?
今、コロナ禍により常に意識しないことが、ドンドンと噴出してきています。
それへの対応に追われ、根幹を見過ごすと、もう消費者は印章を意識しなくなります。
ネットニュースで、「嘗て印章という社会悪があり、10月1日を印章の日と呼んでいた」というのを見て、少しは意識されるかもしれませんね。
技術は印章業界から分離し、それはそれにて意識して頂ける対象を模索することになるだろうと思いますが、その末裔は消えてなくなることだろうと予言できます。
今のままでは・・・。

posted: 2020年 5月 1日