違いを認めるということ

けむりあげ平日つづくかたつむり

【作者】田畑耕作

 

「はんこ文化は世界で日本だけ。海外との取引を推進していくために、日本の古いはんこの慣習を無くし電子認証を普及しましょう。そうしないと日本は世界から遅れてしまいます。」とは、コロナウイルスと共にはびこった昨年来からの声で、ますます大きくなってきているように思います。

昨日、最高裁大法廷で夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定を「合憲」と決定しました。

この判断は、世界的に遅れているのではないでしょうか。

人の在り方も人それぞれ、思想信条や宗教をそれぞれが自由に選択できるはずの日本において、どうして夫婦別姓は認められないのだろうと思います。

人に違いを認識でき、それを認め合うから仲良く暮らせるのではないだろうか。

自分と人の違いを認識できる人は、自分の良さも認識できる人です。

世界にない日本だけの慣習だからダメであるというのは、はんこ文化の良さを知らない人です。

はんこ文化は、人と人とを確実に結ぶ文化です。

スピーディーにはいかなく、デジタル上では邪魔になるのですが、安易にOKを出さずに、間をとり最終決着を決めるポイントとなる一押しです。

迅速に物事を進めなければならないこともあるとは思います。

しかし、日本の文化を踏みにじってまで、世界に合わせる考え方は、既に世界から遅れた考え方であるという事を認識して頂きたいと思います。

それに声を上げ守れるのは、一つ一つを丁寧に時間をかけて仕上げているきちんとした印章業者ではないだろうか。

篆刻家や工芸家にはできない、日本文化の一員としての「印章の陣地」を守れるのは印章業者の役割だと思います。

「かたつむり」も「けむり」をあげて必死に進んでいるんです。

posted: 2021年 6月 24日