一時代の終焉

昨日、神奈川の印章組合から休校状態が続いていた訓練校の母体である職業訓練法人 神奈川県印章職業訓練協会の解散を知らせる挨拶状を頂いた。

五十年という年月に多くの印章人を全国に輩出し、業界の後継者育成に多大な功績を上げられてきました。

関わって来られました先生、先輩、関係者のみなさま、心よりお疲れ様と申し上げます。

私が訓練校の方と初めて話をさせて頂いたのは、技能グランプリに選手として参加させて頂いていた折に、審査員として参加されていた今は亡きK先生です。

当時グランプリの選手でありながら大阪講習会の准講師を仰せつかっていましたが、指導の基準となる物がなく個人の力量に依拠した指導しか出来ずに、困り果てていました。

懇親会で、K先生にその旨をお話すると、訓練校の『印章教科書』(写真)を送ってくださいました。

これは今でも私の宝物です。

全国グランプリでは、たくさんの訓練校の卒業生と競技させて頂き、Mさんが一位労働大臣賞に輝いた時には飛騨高山に押しかけてお祝いの会をしました。

その後、全国組織である全印協の技術委員として東京に行く機会が多くなり、今回の挨拶状をお送り頂いたT先生やA先生とご一緒に技術委員をさせて頂いております。(当時A先生は技術委員長をしておられ、現在は退任されました)

また技能グランプリでは、N先生にも何かとご指導頂いており、昨年は「令和印章修錬会」の審査にも携わって頂きました。

解散の挨拶状を手にした時、訓練校の卒業生でもない私ですが、一時代の終焉を感じました。

技術の継承は、徒弟制度から訓練校や全国の技術講習会や研究会、勉強会に変わって来ました。

訓練校というのは、講習会とはまた違った徒弟制度の名残や職人道徳をきちんと教える流れがあった場所だと思います。

訓練校の卒業生メンバーは研究会という形でそれを引き継いでおられます。

印章教科書は、ノウハウ本ではありません。

それを読んだからといって、すぐさまハンコが彫れるかと言えば、出来ません。

それで良いのです。

これは、指導者が後継者に指導する時に役立ち、その後の後継者の指針となるものです。

それは、それを使ったことがある人にしか分からないことだろうと思います。

その精神は、現在の全国組織である全印協の『印章教科書』にも引き継がれています。

そういうなかで、職人道徳は育まれ伝えられていく事と確信しております。

明日は、その精神を持ち「2級対策講座」at名古屋に行って参じます。

20名の若き継承者のみなさんと話ができると思うと、今からワクワクしております。

 

最後に、T先生とA先生へ

本当にお疲れ様でした。

技術継承の最後の砦である技術講習会や研究会、勉強会の灯を消すことなく、全国のみなさんと共に頑張ります!

 

posted: 2021年 6月 26日