講習生時代の思い出

今から20年以上前、今は技術講習会(大阪府印章業協同組合主催)の講師をさせて頂いておりますが、当時は教養過程の講習生・・・高松から月一で大阪に通っていました。

自慢ではないですが、教養科の3年間は、一度も欠席したことはありませんでした。いや、研究科に移っても講習生時代の欠席はありません。

その折、講習会仲間Tくんが、Yくん(彫刻下請け専門の会社にお勤め)に次のようなことを聞きました。

Tくん「Yくんは一日どのぐらいの数を彫刻しているの? 5本ぐらい・・・」

Yくん「5本ぐらいでは飯が食えませんで・・・」

知らないということは恐ろしいもので、当時は下請けという仲間仕事はしておりませんでしたが、下請けで5本では飯は食えないだろうなぁ~と思いました。しかも流れ作業で、全行程を自分だけでするのではないから、その作業に携わっている人で、割り算をしなければ実質労働の本数は出てこない複雑さなのです。

Tくんはそのようなことを知らない人でした。

その後、私も下請け仕事をさせて頂いた時期がありましたが、一日5本では食えないことも実感しましたし、今その仕事さえ波があり、下請けという職が崩壊しつつあります。

この下請けが業界に果たした役割は、生産性ということだけではない、技術継承という意味でも大きいものがありました。

それが企業、個人にかかわらず、高齢化と事業不振で無くなりつつあるという状況をみても、今の印章業界の現状と技術の行く末が見て取れます。

その果たした役割を代替できるものや事象を再構築しないと、大変なこととなると危惧いたします。

 

posted: 2014年 4月 16日