師走に想う

昨年の暮れに楽天市場に出店させて頂いていた「煕菴印社」を卒業させて頂き、その後に充電期間を頂き、自らの世界観を打ち出した経営方針に大きく転換させて頂きました。
より広く、多くの人にご提供するというのは、聞こえが良いようにも感じますが、量産体制とそれに応じた多額の宣伝方法を駆使しなければなりません。
そのどちらとも、私の世界観とは大きくかけ離れるものです。
勿論、印章という概念やその社会的役割が多くの人に受け入れられなくては、世界観の押しつけになるし、商いをする意味がありません。
その根底が崩れると、趣味の世界観になり果てます。

今年の3月には、「三田村印章店は印章をきちんとデザインする印章店である」というコンセプトに基づきDesigned & Crafted.三田村印章店「姿の美しい印章」として「捺捺捺」というブランドを立ち上げました。
その後、業界環境は著しく変容悪化していきました。
世界観の違うやり方で、今あるうわべを救い取るようなやり方が横行するようになり、それが印章制度や印章文化を継承発展させると、誤認されているような動きが目立ち始めました。
うわべに対してあがく事よりも、何故うわべにある表層状態が発生しているのかという根本を正すことから顔を背けても、次には違ううわべが表層化してくるだろうと思います。
世界観を同一に出来ないやり方に巻き込まれている本来は同一な世界観の方もおられるようですが、印章から学ばずに、印章の在り方まで利益優先型に変容させるような世界観には、驚愕し賛同しかねます。
本来の印章の在り方を追求し、印章と先人から学んでいくという姿勢を回復していくためにも、そのあり方から距離を置きたく考えます。
「おしで」の思想から大陸の政治制度や文化と融合して発展してきた日本印章史を、とりわけ私印として定着してきた実用印章の信用性と価値を守っていくことが私の世界観であり、私のお客様への還元だと改めて思いを深める師走となりました。

 

posted: 2018年 12月 4日