徒弟制度と技能検定

小春日やものみな午後の位置にあり
【作者】清水青風

今日の連続テレビ小説『スカーレット』のお話。
まだ見ていない人・・・すみません。
喜美子が時間が経つのも忘れて一生懸命にした絵付けの作業を師匠は勿論、弟子たちも誰も仕事として認識していなかった。
「また遊びにおいでな・・・」と言われた喜美子。
仕事として絵付けをした気持ちを伝えるシーン
仕事としてできるようになったのは、弟子2番は、3年かかった。
弟子1番は、住み込みで教えて頂いたので1年。
自分の家庭の事情で朝のみ絵付けの仕事をやりたいとした考えの甘さを、喜美子は思い知ることになります。

この絵付けの仕事もそうですが、陶磁器を製造する技能検定(国家検定)があり、先日お知らせしましたように、廃止を検討され、今年度中に結論を出されるという状況です。(印章の技能検定とよく似た状況であります)
『スカーレット』のなかでは、1年や3年で仕事としてできるようになったとあるのは、少し時代考証が出来ていないと思います。
当時の徒弟制度は、修業期間は少なく見積もっても5年、どうかするとお礼奉公2年~3年という状況であったと思います。
それが、機械化や就業意識の変化とともに少しずつ変わり、平成に入る頃は、修業期間3年、お礼奉公1年、となりました。
平成が終わるころには、修業期間を2年に短縮するために親方師匠筋が工夫を重ねるという状況から徒弟制度は崩壊の道をたどりました。
技能検定の受検資格も平成16年度から実務経験年数が大幅に緩和されました。
1級は、12年から7年に
2級は、3年から2年に・・・。

当時の職人仕事に喜美子がいくら学ぶ姿勢があっても、趣味でしていると思われても仕方がないような時代背景がありました。
今、仕事を好き嫌いのみで仕分ける考え方がります。
好きなことは重要だと思います。
しかし、とことん好きか?というと疑問があるような人もいます。
好きと自己満足も違うように感じます。
時代はドンドンと変わりますが、きちんとした位置にあるというのも大切かなと思います。
きちんとした位置にあり、次に伝える
次に伝えるということは、意識しないと出来ない時代
それも時代です。
技能検定も維持できない業界に未来などありえないのです。
業界や技能という思考から脱して、自らの技術を違う方向から光を当てるというのはあるのかもしれませんが・・・。
それも頭の片隅におき乍ら、取りあえずは、技能検定存続のために頑張ります!

posted: 2019年 11月 12日