Q10、生まれ年による印材との相性はあるのですか?
嘗ては、新聞や週刊誌の広告によくその表みたいなものが載っていました。
例えば、昭和34年(1959年)生まれは、五黄土星で象牙や水晶がよいとかいうものです。
結論から言いますと、印材に相性はなく、各人が好むままに選択すればよいものです。
その広告以前には、もっとひどい印相家(印章を販売して見料代わりとする者)の説に、「銅材、鉄材は業病を患う」「水晶材は肺病になる」「鯱の牙は気がおかしくなる」「鯨の歯は変死する」・・・
銅鉄の印材は、現在ではチタンかなとも思いますが、往古の官印にあったもので、現在は見当たりません。今さらに業病の対象ではありません。
水晶、鯱、鯨は日本牛、ラクト材(樹脂材)やそれに類する物と同様に、印材として排斥するのは常識であります。
先の、広告の表に話を戻しますが、今のネット開運印ショップにもそれに似たような物を引き出して提案されていますが、以前の新聞広告と何らかわらないしろものです。
ショップごとによって違うものもあります。
これは本来五行説に基づくものですが、印材にその説を当てるのはこじつけの迷説と言わざるを得ません。
ちなみに、五行説と物品の正しい関係を解説しておきます。
木性の人・・・植物、陶磁、柘材と水牛
火性の人・・・陶磁、玉石、陶材と柘
土性の人・・・金銀、玉石、象牙
金性の人・・・角牙、金銀、水牛
水性の人・・・植物、角牙、、水牛
人、各々が生まれた月日による説、姓名の音韻による五行相生説などもありますが、何度も言いますが、印材にまでこれを持ちだすのは、迷信も甚だしいと言わねばなりません。
人間が一生を通じて所有し、また接触する物品の数は多種多様で厖大なものです。その物品一つ一つに五行説を応用し、吉凶を判断し、利害損失を考察して後に、その物を使用するとすれば、繁雑なること甚だしく、茫然自失しなければなりません。
あるいは印章は、首と掛替えの重大なる使命を持つということを理由に、水牛を水に見立てたり、柘を木に、象牙を土や火に当てはめて考えることは、何の根拠もない浅はかな思いつきに過ぎないことです。
それが今も、これだけ科学が発達して、ネットでお買い物のショップの中にも未だに息づいていることが、不思議ともいえますすし、それだけ印章の正道が見失われている由縁でもあります。
posted: 2014年 4月 26日